第1章 転校初日から
「そっか。話してくれてありがとう。るぅとくんよりすごい人だとは思ってなかったよ。でも、俺は今まで通り仲良くさせてもらっていい?俺も心境は愛奈ちゃんと変わらないものだから」
「えっ、本当に……?」
「うん!だって、そんなの関係なしにさ、愛奈ちゃん可愛くてお気に入りだもん」
先日までいた高校でもずっと友達が出来なくて辛かった。だから、両親の転勤も付いて行った。
ここに来て良かった。同じように悩んでる人と出会えて。
「ありがとう、なーくん。仲良くしようね」
「そうだね。よろしく。これからかまして行こうぜ」
かますって何?なーくんの造語?まぁ、悪い言葉ではないことは分かる。
「じゃあ、今日は帰るよ」
なーくんがそう言って立ち上がったので、私はお見送りすることにした。両親も急いで出てきた。
黒い高級車が住宅街に停まっているのがとても浮いていて、無駄に輝いている。
「初日からご迷惑をおかけしてすみませんでした。これからも娘さんと仲良くさせて頂きたいと思っております」
なーくんが礼儀正しく、両親に頭を下げた。
「普通に仲良くしてもらって構わないからね。むしろ、お母さん達も嬉しいわ」
お母さんがそう言うと、なーくんがホッと胸を撫で下ろした様子だった。
なーくんは車に乗り込んだ。
「なーくん!ありがとう!これからもよろしくね!」
私が大きい声でそう言うと、なーくんは微笑んだ。
「これからもよろしくね!」
お互い手を振って、なーくんが乗った車は進んでしまった。
転校して1日目で、こんなに分かり合える友達が出来て嬉しかった。