第5章 遊園地の観覧車
「大好きだよ、#NANA1#」
さとみくんのイケボさで囁かれるその言葉は私に涙を誘ってくる。
「でも、嬉しいよ。私のこと知ってなくても好きだと言ってくれて嬉しいよ」
私は彼に一度も海老沼財閥の親戚で唯一の女子とは言っていなかった。
別になーくんを疑っているわけじゃない。
だけど、素の私に惚れてくれたんだと思うとすごく嬉しい。
「ありがとう、さとみくん」
私は涙を流していた。
さとみくんは私の頬にキスをした。
「イタッ!?」
さとみくんは私の首筋を噛んでキスマークを付けた。
「なんで……」
「俺も#NANA1#が好きだってことを示すため」
「もうぉ〜」
後で絆創膏でも貼って隠そうかな。なーくん達に文句言われるのはヤダし。
観覧車が降下し、私達は降車した。
すると、さとみくんが手を差し伸べた。
「行くぞ、#NANA1#」
「あっ、うん!」
私はさとみくんに手を引かれて歩き出す。
ホントに私はどうすればいいんだろうか。
どうしたら、告白を平和的に解決出来るのか。
私は選ばなきゃいけない。
二人のどちらかにするか、全て断るか……。