第4章 苺色の夏花火
「じゃあね!」
私は車から降りて家の前に立ち、去っていく彼らが乗っている車に手を振り続けた。
楽しかったなぁ……。
私は家に入ると、行く時に居たお母さんが居なくなっていた。うちの財閥、位が高いほどブラックになるみたいだ。
なーくんの告白が頭によぎって離れない。
私はどう返してあげれば良いのだろうか。
いつだってなーくんは優しかった。どんな時もそばに居てくれた。
この気持ちが恋かどうか分からない。この好きがそれに当てはまっているとは思えない。
なーくんもあまり気にしてなさそうだし、ゆっくり考えていこうかな。
私は誰も居ない家で、夏休みの課題をやっていた。
いつもは感じないこの寂しさはなんだろう。
これが当たり前だったのにどうしてだろうか。
――愛奈ちゃん!
そっか、彼らに出会ったから一人が寂しいんだ。
転校する前なんて、いつも学校で一人だったし、家もこの有様だから慣れていたけど、それはただの強がりだったのかな。
あの日常が愛しいな。