第1章 転校初日から
「愛奈ちゃん、結構洒落た家に住んでるね」
「そんなことないよ」
私は鍵を開けて、中に入った。玄関前は結構片付けたようだ。
「お母さん、お父さん。友達連れてきた」
「えっ!?」
両親は慌てて玄関に来た。
「ななもりです。娘さんと仲良くさせてもらっています」
「えっ……あの那々杜さんの息子さん?」
「そうです!」
ウチの親でもビックリしてる……。やっぱり、ど偉い人の息子なんだなぁ。
「全く片付いてなくて、あまり良いおもてなしは出来ないの。ごめんね」
お母さんが申し訳無さそうに謝る。そりゃ政治家の息子なら、腫れ物に触れるように扱うのは当たり前だ。
「お母様、そんなことしなくていいんですよ!僕が勝手に引っ越しのお手伝いをさせて頂きたいと思ってきたのですから」
「そんな……申し訳ありません。では、上がって下さい」
「はーい!」
こんなに大人と達者な会話が出来るということは、かなり色んな人と関わってきたんだろうな。さすが、政治家の息子。
「先ずは、愛奈ちゃんの部屋から片付けちゃう?」
「うん……ダンボールしかないけど」
「よしっ、行こう!愛奈ちゃん!」
「あっ、うん……」
私はなーくんに勢いに気圧されながら、部屋に案内した。