第1章 転校初日から
放課後。高等部会って言うのがあるからなのか、先生と一部の生徒が忙しそうにしている。
私はそんなの気にせずに校門を通り過ぎた時だった。なーくんが学校の塀を飛び越えてきた。
「愛奈ちゃんだっけ?莉犬くんから聞いたよ。お引越ししたばかりなら仕方ないよね」
なーくんは意外と優しい声で温かい微笑みを向けてくる。るぅと会長よりマシかも。
「でも、るぅと会長は本気で君を追放しようとしてるよ」
「えっ……」
なんて、最低な会長なんだろう。まだなーくんがやった方が良かったのでは?
「俺は追放させたくないんだけどなぁ。愛奈ちゃん、可愛いし!」
な組とのギャップの差がすごい。意外となーくん可愛いなぁ。
「あの、高等部会には行かないんですか?」
「ああー今日はいいかな。あっ、そうだ!愛奈ちゃん、俺も引っ越しのお手伝いするよ!」
「えっ、そんな!」
まだ片付いてないなのに、政治家の息子なんて連れて来れないよ!
「早く車に乗ろっ!」
「車!?」
私はなーくんに手を引っ張られ、黒い高級車に乗せられた。
「菊地さん、愛奈ちゃんの家に連れて行って。愛奈ちゃん、住所教えてよ」
「はい……」
私が住所を教えると、車は走り出した。