第4章 苺色の夏花火
よく耳にする声が聞こえてきて振り向くと、莉犬くんがわたあめ屋さんでわたあめを買って幸せそうに食べていた。
「やっぱ、普通だな……」
ジェルくんが呟いた。普通に酷いなぁ……。
「いいんだ、莉犬はアレで」
さとみくん、莉犬くんのフォローにもなってない。
「愛奈ちゃん!」
なーくんが突然私の手を引いて早足でみんなのところから離れる。
「どっ、どうしたの、なーくん……?」
なーくんは私の方を見てニコリと笑った。
「愛奈ちゃんと二人っきりで見たかったんだ」
私は少女マンガみたいなセリフに顔を赤らめた。そう言えば、花火が上がる時間だ!すごいシチュエーションだ!
すると、花火が上がった。色鮮やかでとても大きな花火だった。
「キレイだね、なーくん」
「そうだねぇ〜」
花火を眺めていた時だった。
なーくんが私に顎クイをして、耳横で囁いた。
――愛してる