第4章 苺色の夏花火
さとみくんとるぅとくんと一緒に屋台を見ていると、なーくんが屋台でくじ引きをしているのを見つけた。
「マスター。もう一つ袋があるんじゃないか?そこに入ってるんだろ?」
「ぐっ……勘の良いガキは嫌いだよ。欲しいもん持ってけ」
「ありがとう、ゲームマスター」
まさかの心理戦!?
さすがなーくんだなぁとは思うけど、それは怖いなぁ。
「あっ!愛奈ちゃん!るぅとくん!……さとみくん」
なーくんが私達の存在に気付いて声を掛けてきた。
「さとみくん、何で手繋いでるの?」
「別にいいだろ。危ない目には遭せたくないし」
なんか、さとみくんとなーくんの間に亀裂が入ったようにも見えた。どうかしたのかな?
「ところで三人共、この袋の中で欲しい物ある?」
「あっ、さっきの心理戦の……」
なーくんが嬉しそうに見せてきたのは、先程の心理戦での報酬である良い特典がたくさん入った袋だった。
「本当にもらってもよろしいですか?」
るぅとくんが私の不安を代弁したかのように、お店の人に質問した。
「もう良い。彼は本当の恐ろしいゲームマスターだ」
そう言った店員さんがとても可哀想に見えてきた。
「じゃあ、私は大きいいちごのクッションで!」
「うん……僕は可愛い怪獣さんのぬいぐるみにしよう。弟が喜んでくれるはずだ」
「じゃあ、俺はプレステ5で」
店員さんに帰る時間まで預けてもらうことにして、私達はジェルくんと遠井さん、莉犬くんを探しに歩き回った。