第4章 苺色の夏花火
声がする方を見ると、さとみくんがヨーヨーをたくさん持っていた。そりゃ、店側が困るに決まってる。
「さとみくん……」
「おお!愛奈これ要るか?全部もらってけよ」
店のヨーヨーが入っていたであろうプールには、何も入っていない。
「さとみくん。返してあげて。さすがに可哀想だし、出禁になるよ」
「え〜マジかぁ。仕方ねぇ、返しますよ」
「ありがとうございます!!」
店側はとても喜んで受け取った。さとみくんが全部取って行ったら、金儲けにはならないもんね。
「愛奈、行こうぜ」
「うん」
なーくんはどこかの屋台行ったのか、隣には居なかった。その代わりなのか、さとみくんが私の手を取った。
さとみくんと二人で歩いていると、るぅとくんが射的をしていた。
「るぅとくん、何狙ってるの?」
「弟のためにクマのぬいぐるみを狙っている」
こんな怖い会長でも優しい一面があるのか……。
「クソっ、改造してやる!」
「へっ?」
るぅとくんは射的用の銃を改造し、どこぞのサバイバルゲームに出てきそうな銃を作り出した。
「オラァァァアア!!」
強い爆風に私とさとみくんは目を瞑った。
目を開いてみると、屋台が吹っ飛び、クマのぬいぐるみも真っ黒になっていた。
「よし、取れたぞ」
喜んでいるるぅとくんを見て、私はため息をついた。
一体、それで誰が喜ぶのだろうか。