第3章 寮生活スタート!
「あの、俺……」
莉犬くんがそう言い掛けて止まった。共同スペースがある1階に行ける階段が目の前にあるところだった。
莉犬くん、どうしたんだろう?なんか言いたいことあるのかな?
私が首を傾げていると、莉犬くんはこっちに振り返って首を横に振った。
「いや、何ともないよ。ごめんね」
そう言って莉犬くんは弱々しい笑顔を向けて、階段を下り始めた。
「莉犬くん!私でいいなら相談聞くよ!」
私がそう言うと、莉犬くんは足を止めて言った。
「大丈夫だよ。全然大したことないから」
莉犬くんは共同スペースの方へそそくさと歩いて行った。
私は莉犬くんのことが気になりながら、共同スペースの方に行った。既に全員揃っていた。
「おっ、石原さん来た」
「愛奈ちゃーん!」
ジェルくんとなーくんがすぐに反応した。二人共、双子のようにタイミングが合わさっていてビックリした。
「今日の夕飯さぁ、ハンバーグが良いなぁ」
なーくんがそう言ってきた。これは作ってくれってことか。
「ああ……分かったよ。その前に、昼食どうするの?」
「俺はバナナだけで十分」
変なことを言い出したころんくんの方を見ると、小さめのモンキーバナナを二本両手で持って食べていた。どんだけバナナ好きなんだよ……。
「僕は寿司」
「るぅとくん……さすがに私も作れんよ?」
寿司なんて普通には作れないし、学校内のスーパーにあるとは思えない。