第2章 手作りお弁当
「というか、明日から寮って急過ぎへん?」
ジェルくんの言葉に、誰もが頷く。
「るぅとがなんか言ったんだろ」
さとみくんがそう言った。
るぅとくんがお祖父さん(学園長)に何か言ったのだろう。まさかお祖父さんの気まぐれということは無いだろうし。
「愛奈ちゃーん、めっちゃ美味しかったよ。ありがとう。ごちそうさま」
「あっ、喜んでくれてありがとう」
なーくんが嬉しそうにそう言って、食べ終えた弁当箱を渡してきた。
「なーくん、愛奈ちゃんお気に入りなんやろ?」
ジェルくんが急にそんなことを言ってきた。
なーくんは私の秘密を知ってるから、守ってくれてるだけだと思うけど。
「うん、愛奈ちゃんは俺のお気に入り」
なーくんの言葉に、私は不意に顔を真っ赤に染めた。胸が高鳴って、変な気分になった。
「俺も、愛奈がお気に入り」
「えっ……さとみも?」
莉犬くんがさとみくんの言葉に聞き返した。
私、なんかすごい人達に気に入られたのかな……?
不思議なムードになった時、るぅとくんが教室の扉を勢いよく開けた。
「おい、莉犬。みんなで飯食ってるなら僕も誘えぇ!」
「すいません!」
入ってきて早々に怒鳴るるぅとくんに、誰もが呆れていた。無理矢理謝罪をさせられる莉犬くんが可哀想。
すると、るぅとくんが私が作ったさとみくんの弁当箱を覗き込んだ。
「さとみくん、すごく美味そーなの食べてますね」
「これ、愛奈が作ったんだぜ」
「えっ?」
さとみくんが得意気に言うと、るぅとくんもがこちらを見た。
「……美味しそう。お前は、明日から料理担当な」
「えっ!?」
るぅとくんが私を睨み付けて言った。容姿も声も可愛いのに、どうしてそんなに怖い雰囲気を放ってるのだろうか。