第2章 手作りお弁当
朝、自分を含め三人分のお弁当箱を作って家を出ると、さとみくんが家の前で待っていた。
「おはよう、愛奈」
「おはよう、さとみくん」
「早く行こうぜ」
「うんっ」
私はさとみくんに手を繋がれた状態で歩いていた。
なんだろう、この恋人みたいな状況……。
「そういや、明日から全寮制なるらしいな。昨日、PTAメールが来たぞ」
「えっ!急過ぎるなぁ」
荷物まとめる方も大変なのに……。
「あれ、知らんかったの?」
「親が共働きで、会うことも無いからねぇ……それなら、全寮制の方が良いかも」
一人で居るより、誰かと笑い合っていた方が楽しい。この学校に通って、初めて知ったことだ。
「だから料理上手なんだな。俺も全寮制の方が有りがてぇかも」
もしかして、さとみくん家も両親が忙しいパターンかなぁ。
「俺はなーくんみたいな大きな家で、一人で離れの家に住んでるから、つまねぇんだよ」
離れに住んでるの?一人で?さすがに私の家でもそんなの無いもん。
そんなさとみくんなら車であの二人みたいに登下校も有り得そうだけど……。
「同じ寮になるのは決定事項だから、愛奈は料理担当な」
「えぇー全員分作るのぉ?」
さとみくんの言葉に私は肩を落とす。さとみくんはそんな私の様子が面白いのか、めっちゃ笑ってる。
「寮の近くにスーパーがあるから大丈夫だよ」
「えっ、スーパー!?」
スーパーまで完備しているとは、瑠組財閥は恐ろしい。
「じゃあな、愛奈」
「うん、またね」
私の教室の前で、さとみくんと別れて教室に入った。