第1章 転校初日から
なーくんは弁当箱を買って、私に渡した。
「ごめん、よろしくね」
なーくんはそう言って微笑んだ。その笑顔はとても優しくて可愛くて、見とれてしまう。
「弁当箱買ったし、帰ろうぜ」
さとみくんの言葉に、皆は頷き、それぞれの道に別れて帰って行く。
るぅとくんとなーくんは相変わらず、車で帰って行った。
私はさとみくんと同じ方向で雑談をしていた。
さとみくんは大手企業の社長の息子だと知った。すとぷり学園のリーダー達って、権力がすごい。
「愛奈の親とかどうなの?」
呼び捨て呼ばれてドキッとした。男の子と居るのは慣れてないんだ。
覇組のことは内緒だ。企業の子なら絶対に欲しがるだろうから。
「普通に働いてるよ。今回だって親の転勤で来てるからね」
「へぇー転勤って嫌だよな」
「この学校、すんごい面白いから良いけど」
私がそう言うと、さとみくんは嬉しそうに笑ってくれた。
さとみくんもなーくんみたいに心地よい声で、心が落ち着く。まさにイケボだ。
あと、顔も最高にイケメンだから、羨ましいことだ。
すぐに私の家に着いてしまった。
「さとみくん、バイバイ。また明日」
「バイバイ、弁当楽しみにしとくぜ」
私はさとみくんに手を振って、家に入って行った。