第1章 転校初日から
「ちょっと待って下さい!」
校門を出た時、莉犬くんが走ってこちらに来た。そう言えば、さっきまで居なかったよね。
「莉犬くんどうしたの?」
私がなんとなく聞くと、莉犬くんはガクガクと肩を震わせていた。
「るぅとくんの御祖父様に呼び出されて……」
「えっ!」
莉犬くんの言葉に、みんなは驚きの声を上げた。もちろん、るぅとくんも。
「ウチの孫が酷い真似をすると思うから、愛奈ちゃんを支えてくれって……」
あれ?なんか、予想してたのと全然違う。
「何で、僕が悪者になるの?僕は気に入らなかったから排除しようと思っただけなのに」
「るぅとくん……それがいけないから、御祖父様がお怒りなんだよ」
るぅとくんの言葉に、なーくんの正論が突き刺さる。
気に入らないから排除するという考えはいけないと思う。残酷な独裁政治ではなく、みんなで仲良く民主主義社会を作りましょう。
「とりあえず、早く百円ショップ行こう!まだ全然進んでないから!」
私がそう言うと、皆は頷いてくれた。
「じゃあ、百円ショップ行きましょうか!かますぜ!」
かますほどのものではないけど。なーくんらしくて好きだな。