第1章 転校初日から
「じゃあさ、るぅとくん。愛奈ちゃんも入れたらどう?優しい優しいるぅとくんなら、ジェルくんの彼女の遠井さんを思って、入れてくれるよね?」
なーくんがそう言ってるぅと会長に間接的に攻めていく。言い回しが上手いのも、政治家の息子だからかな。
るぅと会長はなーくんの言葉に、顔を真っ赤にさせていた。怒ってるのかな。やっぱ、水掛けたから完全に嫌われてるよな。
「俺、愛奈ちゃんと一緒が良い!」
なーくんが私の腕に抱きついて、るぅと会長に言った。急に笑顔で抱きついて来たので、私は不意に顔を赤くさせた。
「俺も愛奈と一緒がいいなぁ」
さとみくんも賛同してきた。というか、寮の割当てをこんな簡単に決めていいものなのだろうか。
「私も愛奈ちゃんとならいいよ」
遠井さんの言葉が相当刺さったのか、るぅと会長はとても渋い顔をしていた。
「副会長のなーくんがそう言うなら、入れてあげなくもないけど?」
るぅと会長の言葉に、な組達は大喜びしている。そこまで喜ぶこと?
「じゃあ、愛奈ちゃん。俺のお弁当箱を買いに行きますか」
「えっ、持ってないの?」
「いつも業者に頼んでるから」
なーくん、さすが過ぎて恐ろしい。弁当すら業者を雇うんだ……。
「るぅと会長も一緒に帰る……?」
私は恐る恐る聞くと、るぅと会長はこっちを睨み付けてきた。
「……いいよ。別に、会長呼びしなくていいから」
るぅと……くんは、もごもごとした口調でそう言った。
今朝あんなことしたけど、るぅとくんとも仲良く出来るといいな。
そして、私達は玄関を出て、百円ショップに向かった。