第1章 転校初日から
授業が終わり、放課になった。私は帰ろうと一人で玄関に向かった時だった。
「愛奈ちゃーん!」
「えっ……うわっ!」
突然、なーくんが抱きついて来た。奥の方では、さとみくんとジェルくん、遠井さんが微笑ましそうに見ていた。
他の生徒もビックリしている様子だったが、急いで逃げるように帰っていく。
「ななもりくん、愛奈ちゃんがビックリしてるから離れてあげて」
遠井さんが注意してくれた。すると、なーくんはムスッとした顔で体を離した。
「いいじゃん、愛奈ちゃんと居たって」
「なーくん、そういうことじゃないからね?一応、すごい人だから」
不貞腐れたなーくんに、さとみくんがよくも分からない注意を入れてきて、私は混乱する。
「そう言えばさぁ、もうすぐで全寮制なるんやろ?」
ジェルくんの訛りが入った言葉に、私は首を傾げる。
「確かに半年過ぎたし、そろそろだよな」
さとみくんも話に混ざるが、全く理解出来ない。
この学校って、寮とかあったの?
なーくんが私の肩に手を置いた。
「一年生は前半は自分で登校しなきゃいけないんだけど、後半から完全全寮制なんだよ。寮といっても、先生や生徒会が決めたメンバーで集まった家でシェアハウスする感じかな」
なーくんが分かりやすく説明してくれた。