第1章 転校初日から
「るぅと会長!もう黙ってて下さい!自分の教室に戻りましょう!」
莉犬くんがるぅと会長に自教室への帰省を促す。るぅと会長が莉犬くんの手を振り払った。
「おい、石原愛奈。絶対にお前の個人情報を晒す」
「怖っ!私は別にいいけどね。内容が凄すぎて逆に言えなくなると思うけど。それ以前に御祖父様に止められるでしょ?」
私の反論に、るぅと会長は少し狼狽えている。
覇組の機嫌を損ねてはならないという社会全体での暗黙の了解があるのだ。
今思ったけど、覇組ってやっぱり強いんだなぁ。
「るぅと会長!教室に帰って下さい!ころちゃん連れて行って!」
「えぇーダルっ。莉犬くんが連れて行ってよ」
「俺クラスここだもん!ころちゃんどうにかしてー!」
莉犬くんの代わりにころんくんがるぅと会長を引っ張り出して教室から出て行った。
「嵐だったね。愛奈ちゃん、お疲れ様」
「なーくん疲れたよぉ〜」
少し甘えてみると、なーくんは私の頭を優しく撫でてくれた。優しいお兄ちゃんって感じ。
「二人共デキてるの?」
さとみくんの質問に、私は首を横に振った。なーくんと付き合うなんて、そんな凄まじいことある?
「もう昼休み終わるし、帰るね。バイバイ」
「ばいばーい」
なーくん達は、自分の教室に帰って行った。