Second reincarnation【ツイステ】
第30章 堕ちる
「声に応えて姿を似せろ、オレは真似る者、全てを騙す者…擬態する色(ミミクリー•ミー)!!」
「!?」
パッ…と姿を変える
さっきと同様、小鳥に姿を変えて素早く離脱をして、レイから離れた場所にユニーク魔法を解いて立つ
逃げ出すとは思ってなかったのか、レイの表情は一瞬驚いた顔になったけど…
すぐに平然を保つ
「なんで逃げるのお兄ちゃん」
「…今のお前は正気じゃないからだ」
「正気…?…そんなもの…保てるわけないじゃないッ!!」
その一言で、さらに黒いドロドロが辺りに溢れ出す
レイは頭を抱えて一気に取り乱し始めた
「私、このまま元の世界に戻ったら一人ぼっちなの!お父さんとお母さんは仕事ばっかりで帰ってこない!お兄ちゃんがいなくなったら…私は一人ぼっちになるのッ!!」
「…それは…」
…こういう時、すぐに気の利いた言葉を言えないのはオレの欠点だ
押し黙ることしかできなくて、唇を噛む
「だからお兄ちゃんも一緒に帰ればいいんだって気づいたの。最初から…そうすればよかった」
「…オレは…一緒に帰れないんだレイ…」
あの事件で死んだ時点で元の世界に体は無い
そのことをまだレイに話せていなかった
でも今のレイに会話が通じるわけもなく
「……私といるより…ここでの暮らしの方が、幸せだから…?だから私を見捨てるの?手間のかかる妹とは…一緒に帰ってくれないの…?」
「違うッ!それだけは絶対に…絶対に違う!お前のことが手間だったことなんて一度もなかった!オレにとってお前は唯一の宝物だった!!」
「じゃあどうして…どうして死んじゃったの!?」
「レイを…妹を見捨てられるわけないだろ!あの時はああする他に方法がなかったんだ…!」
「……違う…違うよ、お兄ちゃん」
両手で顔を覆ったレイが、さっきまでとは違った静かな声音でそう呟いた
何が違うんだ…と言いかけて、その異様な静けさに思わず身体が固まる