第1章 ー両親の願いー
『パパ、ママ…
私を庇うようにママとパパが立ち上がる
「愛癒香、お前は椿紗を連れて逃げろ」
「…駄目よ、私も戦う
椿紗、貴女は逃げるのよ」
それと同時に私の背後に黒いモヤが現れる
徐々にそのモヤに飲み込まれる身体ー
『パパ!ママ!』
「大丈夫、パパの個性だ!!
椿紗…笑顔でこれからも生きろ」
「面白い、ワープ能力か?
いいね…それは私が貰おう」
そう言ったパパとママの笑顔ー
そして黒ずくめの男の不敵な発言を最後に
私の視界から2人の姿が消える
その消える瞬間に見えた真っ赤な景色
次に目に映ったのはおばあちゃんの家だった。
『パパ…ママ……あ、ああああー!!』
真っ暗の部屋に響く私の泣き叫ぶ声
バタバタと駆け寄ってきたおばあちゃんは
何も言わず優しく抱き締めてきた
ぽんぽんと優しく叩かれる背中
「椿紗ちゃん…大丈夫よ」
大好きなパパとママと突然の別れ
自分の個性もよく分からないまま
一つだけ確かなことは2人が居なくなったのは
……紛れもなく私のせいだということだ