第23章 ー救出作戦・・・そして再会ー
**爆豪side**
「こい!」
上空からのクソ髪の声に
俺は椿紗を抱えて爆風で飛び上がる
(クソッ!片手だけじゃ威力が足りねぇ…)
「爆豪!!!」
あと少しで手が届くはずなのに
その手は届かなくてーー空を切った
『…勝己……ごめんね』
このままじゃ落ちる…そう思ったのに
アイツの声が聞こえた時には
しっかりと俺はクソ髪の手を掴んでいた
でもその代わり今まであったはずの
左腕には重みも温もりも何も感じない
「神無月?!お前、何で…!」
クソ髪の声に嫌な予感を感じ振り返れば
羽を広げたアイツは俺達から徐々に離れる
『ごめんね、皆…バイバイ』
いつもの笑顔でそう言ったアイツは
そのまま先程まで居た場所に戻っていく
「椿紗ーーーー!」
そして遠くなるアイツの背を
ただ俺は見送るしか出来なかったーー
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**椿紗side**
パパとママの事を聞いてから頭が回らなくて
気付けば勝己が私を抱えて奴らから逃げていた
勝己の向かう先には鋭児郎達がいて
私達を助けるために黙ってきたんだろう
でも私を抱えてるせいで勝己は
上手く爆風が使えてないみたいで
鋭児郎の手を掴めず私達は落ちていった
(このまま落ちたら…死ねるかな……)
もう全てどうでもいいーー
でも勝己の事は道ずれになんか出来ない
彼の腕を抜け出て翼を出し
勝己だけを鋭児郎達の元へ送る
『…勝己…ごめんね
……ごめんね、皆……バイバイ』
しっかりと皆が逃げたのを確認して
私はさっきまで居た場所に降り立った