第11章 ー新たな戦いー
「爆豪と…何かあったのか?」
食事を取り始めてから
今まで黙っていた轟君が
遠慮がちに口を開く
『…ちょっとした…喧嘩だよ』
「…そうか」
明らかに納得してないだろうに
それ以上何も聞いてこないのは優しさだろう
今はその気遣いが本当に助かるー
『そう言えば言わなきゃいけないことある』
そう言うと蕎麦を食べる手を止め
不思議そうにこちらを見る轟君
『これからは個性隠さずに行く
…体育祭は負けないよ』
「俺も親父が見に来る…
誰にも負けるつもりはねぇ」
ふっと笑いながら言う彼
でもその瞳は笑っていなかった
『もし戦う場面があれば
次はお互い本領発揮だね』
かつての訓練の時を思い出す
あの時はお互いが本気を出せず
不完全燃焼のままだったから…
次は本気の彼と戦えたらと
私は少し楽しみで仕方なかった