第10章 ー臨時休講ー
(何で…こんな…)
次第に目に涙が溢れてくる
そして勝己の手がズボンに触れた時
私は反射的に彼の唇を噛んでしまった
「…っ!!……」
『あ…ご、ごめん!…』
ツーっと彼の唇から血が流れる
『…でもこれ以上は止めて…
こんなの…いやだっ…』
言いながら我慢していた涙が零れ
静かな部屋で私の嗚咽だけが響きわたる
「…わりぃ…帰るわ」
そっと私の溢れる涙を拭った彼は
それだけ言うと振り返ることなく出て行く
最後に見せた勝己の表情に
さらに胸が締め付けられ…
私はただ残された部屋で
子供のように泣きつづけた