第5章 ー彼の過去・私の個性ー
ピンポーンー……
呼鈴がなりパタパタと玄関へ向かう
ドアを開けるといつも通りの相澤先生の姿
「何の用だ」
『あのちょっとお話もあるんで
どうぞ、上がってください』
そう言って相澤先生を部屋に招き入れる
先生をリビングに案内してから
さっきまで作っていた食事をテーブルに並べる
「これは?」
『さっきまでお仕事だったなら
ご飯まだかなと思って…私も一人で
食べるのも寂しいんで一緒に食べましょ』
「わざわざすまないな」
作る時間もあまりなかったから
簡単なクリームパスタとサラダ
それを先生は"美味い"と言って食べてくれる
人と食べる食事というのは良いものだ
「それで…話というのは?」
『轟君に個性バレました…あはは』
「いやお前……笑い事じゃないだろう」
相澤先生に鋭く突っ込まれたが
事の経緯を説明するとただため息をつかれた
「頼むからお前は自分の個性を自覚しろ…」
『怪我を見たらつい…
やっぱり人が傷つく姿は見たくないです』
苦笑しながらデク君の姿や
怪我した男の子の姿を思い出す
痛い思いを私が緩和してあげられるなら
もちろんしてあげたいものだ