第4章 ーヒーロー基礎学ー
『轟君、おまた…
「あ!神無月戻ってきた!お疲れ!」
「個性無しであんな戦えるなんて超格好よかったよ!」
「お前クールに見えて意外と感情豊かなのな!」
私が教室に入ると残っていた
何人かのクラスメイトに囲まれ
矢継ぎ早に話しかれられる
『え…あ、あの』
「俺ぁ切島鋭児郎だ!」
「私、芦戸三奈!」
「蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで」
私がテンパるのを気にせず
自己紹介も一気にされ頭がパンク寸前ー
右手をぎゅっと背後から捕まれ引っ張られる
「悪ぃな、今日こいつは俺と帰るから」
背後から聞こえたその一言に
クラスメイトはシーンと静まり
私の身体は教室の外へと連れ出された
勿論私達が出たあとの教室内から
ザワつく声が聞こえたのは言うまでもない
『と、轟君!…』
「わりぃ、あれに捕まると
話長くなると思ったから…
お前は早く帰って身体休めた方がいい」
教室を出てからだいぶ経つのに
いまだに手を握り締めて歩く彼は
立ち止まるとバツが悪そうにそう言った
本当に彼は誤解されやすいくらい優しいー