第3章 ー私の過去・本当の敵ー
そして話し合いが終わり
結局辞めずに残ることになった
「今日みたいにお前の個性は
"身体強化"として俺は対応する」
その言葉に私はほっと胸をなでおろす
今日はこのまま帰って良いとなったが
相澤先生が狙われる事を心配して
家まで車で送ってくれることとなった
「乗れ」
先生の車まで案内されると
助手席のドアを開け言われる
さり気ないエスコートに
ドキッとしながら乗ると
車内は微かな煙草の匂いがした
『先生、煙草…吸うんですか?』
「たまにな…お前の前じゃ
吸わないから安心しろ」
そして"道案内しろよ"と言い
車が動き出した
特に会話もない車内だが
これといって気まずさはない
私自身普段からそんなに話さないから
逆にこの空気が心地よく感じる
『あ、先生そこを右に曲がった先の
あのダークグレーのマンションです』
私が言った先で車を停めた先生の顔は
何故か怪訝そうな顔をしている
「お前…もしかして一人暮らしか?」
『?そうですど…流石に
祖母の家から通うには遠すぎますし』
そう言うと溜息をつき
携帯を取り出してこちらに差し出す
『え?』
「俺の連絡先だ。
何かあったらすぐに連絡してこい
運がいいことに俺もこの近くだからな」
(先生いつも無表情で誰にも
興味無さそうな印象だったのに…
本当は心配性で優しい人なのね)
私はクスッと笑い、
先生の連絡先を登録する
そしてそのままお礼を言って
車を降りて自分の家へと帰った