第21章 ー林間合宿ー
『…ど、どう?』
飲んだまま動かない彼に聞くと
手をグーパーし不思議そうにしている
「…なんか身体があったけぇ
…お?おおー!!治った!」
『?!』
その声に彼の腕を掴んで確認すると
傷は綺麗に塞がって跡形もなくなっていた
(…良かった…成功した)
コレで助けれる人が増える
ただ効力がどれ程かは分からないけど…
「お前すげーな!コレあれば
災害時とか助かる人増えるぞ!」
『ありがとう…うん…コレがあれば
私が…もしいなくなっても助けられる』
もしこの先ヴィランとの戦闘が激化すれば
そうなることも起きるだろうーー
「…なんでそんな風に…言うんだよッ」
『え…ちょ、鋭児郎…?』
急に彼に抱き締められたかと思えば
何故かその腕は微かに震えていた
「…お前に何があったかなんて俺は知らねぇ。
でも…たまにお前がこのまま俺達から離れて
どっかに行くんじゃねぇかって感じるんだ…」
(……鋭児郎……)
「正直俺よりお前の方が強い…!
でも強くなるから…俺がお前を護るから
どこにも行くんじゃ、ねぇ…!」
その悲痛な声に胸がぎゅっと苦しくなる
いつも友の事を思っている彼を
悲しませるような事はしたくない
(でも…ごめんね、鋭児郎
それだけは約束できない)
私はこの言葉を彼に言えない代わりに
ただ震えるその背中をぎゅっと握り返した