第20章 ー期末テストー
「玄関までで良かったのに
……わざわざありがとな!」
エントランスにでると振り返って笑う彼
『見送りたかったんだからいいの!
……帰り暗いから気をつけて帰ってね』
「おうよ!サンキューな
ほらお前も…早く部屋戻りな」
そしてポンポンっと頭を撫でられる
彼は同い年のはずなのに何だか
こういうとこお父さんみたいだ
『ふふふ、鋭児郎お父さん似てる』
小さい頃の父の仕草を思い出し
思わず笑みがこぼれてしまう
「お父さん?!…俺だって男なんだからな?
ほら早く行かねぇと何するかわかんねぇぞ」
頭に置かれた彼の手が私の肩に触れ
壁際にそっと追い詰められ見つめられる
いつもと違う真剣な目ーー
『…またまた、冗談でしょ?w
ほら勝己も待ってるから私行くね!』
私はそれを笑って流し
そのままエレベーターに乗り込む
(鋭児郎の目……まさか…ね?笑)
自意識過剰な考えを振り切るように
頭を振りながら私は部屋のドアを開けた
ーーーーーーーー……
「ははは、冗談……か
全く意識されないってのもきちぃな」
そんな彼の呟きは私には聞こえなかった