第16章 ー募るそれぞれの想いー
『…ウィングヒーロー"ホークス"』
「こんばんは、お嬢さん
俺の事知ってるくれてんだね」
現在ヒーローランキングNO.3の彼
逆にヒーローを目指すものとして
知らない方がおかしいと思うがーー
まさかそんな人とここで会うなんで
『何故貴方がこんなとこに?』
「いやーたまたま仕事終わりに
見覚えのあるもんが見えたんでね」
ははっと笑いながらそう言うが
それはないーー周りの警戒はしていた
そんな風に追ってきたなら絶対に気付く
『…そういうことにしときます
それで何か御用ですか?』
何のためにここにきたのか
不信感を募らせきく
「おお、お堅いねぇー
別に用って程のもんじゃないよ」
コツコツと近寄ってくる彼の足音
トンっと肩に置かれた彼の手
そして耳元で囁かれた言葉に振り返る
「…さぁもう夜も遅い
変な事件に巻き込まれる前に帰りなよ」
そう言って暗闇へと消える彼の背を
私はただじっと見詰め続けていた