第16章 ー募るそれぞれの想いー
**轟side**
(…ん…今何時だ)
少しだけのつもりがいつの間にか
外は少し明るくなってきている
そして携帯を見れば時刻は4時半ーー
(やべぇ完全に寝すぎた…)
姉さんに連絡してなかったせいで
携帯にはたくさんの着信通知があった
とりあえず起きようと身を起こせば
布団がずれ隣に寝た彼女の姿が現れる
『んん…』
(何、で……あんなことしたのに
しかもベッドに運んでくれたのか)
どこまでも優しい彼女の心に
気付かされた好意が募っていく
「…ありがとう…」
まだ寝ている彼女の額にキスし
軽く身支度を整えて彼女の家をあとにした
**相澤side**
体育祭の後マイクに飲みに連れられ
やっと解放されたのは既に朝方だった
眠気に襲われなが自宅を目指す途中
ちょうど神無月のマンションの前に通りかかる
昨日は轟と帰ると言っていたが
アイツはちゃんと無事に家に帰ったのか
きっと寝てるだろうが
一応連絡だけ入れようと携帯を出す
だがマンションから出てきた人物に目を見張った
「…轟?」
制服のままーー昨日泊まったのは明白だ
「そういう関係…か」
一回り以上も離れた
ましてや一生徒のプライベート…
気にする必要も無いはずなのに
黒い感情が心にまとわりつく
そして送ろうとした文を削除し
俺はそのまま家へと帰路についた