第16章 ー募るそれぞれの想いー
**椿紗side**
『ぅ……ん…』
目が覚めても未だぼーっとする頭
左手に温もりを感じみれば
轟君が手を握りしめスヤスヤ寝ていた
(轟君……?!ってさっきまで私達っ…)
先ほどの情事を思い出しカッと熱くなる
まさか彼があんな風になるなんてーー
『轟君…でも駄目だよ……
あんな目……勘違いしちゃうから』
あんな熱い目線ーーまるで私の事を好きみたい
別に彼のことは嫌いじゃない
どちらかと言うと好きな方だと思う
私と同じ過去にトラウマを持った人ーー
でも少し違うかな
(私は…"私のせいで"大事な人を
殺してるかも知れないんだから…)
『私に幸せになる資格はないの
……貴方の優しさを受ける資格ないの』
轟君の火傷側の頬に触れ
"ごめんね"
寝てる彼には聞こえないのに呟く
そして個性で彼の体をベッドに運び
そのまま共に眠りについた