第16章 ー募るそれぞれの想いー
**轟side**
「…やり過ぎた…か」
目の前で静かに寝息を立てて眠る神無月
嬉しそうに爆豪の話をする彼女に
胸が苦しくなり気付けばキスしていた
初めて触れた唇が柔らかくて
止めるに止めれなくてーー結局これだ
「くそっ…こんなの嫌われても仕方ねぇか」
彼女の髪を撫でながらもう今までみたいに
笑ってもらえないかもと不安で仕方ない
ただ親父を憎んで過ごしてきた俺が
彼女と出会ってから笑うことが増え
この憎い力も少し受け入れれるようになった
「…あぁ…そうだよな……
神無月 俺、お前のことが好きみたいだ」
爆豪にムカついたのも
お前の初キスの相手が別だったことも
こんなにも触れたいと思って仕方ないのも
お前が好きだからなんだな
「こうなって気付くなんて皮肉だな
…せめて目が覚めるまではこうさせてくれ」
眠る彼女の手を握り目を瞑った