第16章 ー募るそれぞれの想いー
『それじゃ轟君はゆっくりしてて?
パパっと夕飯作っちゃうからさ』
「何か手伝えることないか?」
『お客さんはゆっくりしてて下さーい』
彼の背を押しリビングに案内してから
私は1人キッチンで夕飯の支度を始める
**轟side**
神無月との帰り道ー
何故か俺の口から出たのは
彼女の家に行きたいという言葉
(…俺…どうしちまったんだ?)
結局夕飯までご馳走するという
彼女に甘え、リビングで待っている俺
キッチンから聞こえる包丁の軽快な音
彼女の部屋に来るのは2度目だが
今回の方が緊張している気がする
『轟君、ご飯出来たよ〜』
そう言って運ばれた料理を見れば
俺の好物の蕎麦で美味そうだ
「これ…」
『轟君蕎麦好きでしょ?
いつも食堂でざる蕎麦食べてたから
今日は変えて暖かいお蕎麦にしてみた♪』
そう悪戯っぽく笑う彼女
本当彼女は人をよく見ている
そして人の心を掴むのが上手くて敵わない