第16章 ー募るそれぞれの想いー
**椿紗side**
私の作った料理を美味しそうに食べる彼
『…轟君も食べ方綺麗だよね』
「…俺"も"って?」
『あ、いや…勝己も食べ方綺麗だったからさ
それに意外と料理も作れてビックリしたよ』
勝己達が家に来た日を思い出し
あの時のギャップに再度笑ってしまう
「…お前爆豪の事好きなのか?」
箸を起き真剣な顔で聞いて来る彼に
私は思わず吹き出してしまった
『私が勝己を?ナイナイ』
「唯一アイツだけ下の名前で呼んでるし
…今だって嬉しそうに話してた」
それは勝己に呼べって言われたからー
そう言葉を発する前に私の口は
轟君唇に塞がれ出てこなかった
少し冷たいその唇と微かな蕎麦の味ー
『んっ…ん……なん、で』
「お前が他の奴のこと
…考えてるのがムカついた」
漸く離れた唇に私が問えば
ふいっとそっぽを向いて言う
『…ふふ…轟君可愛い』
「お前…怒らないのか
勝手にキスされたのに」
『…んー初めてじゃないし
それに別に轟君の事嫌ぃ…った!』
またもや言い終わる前にトンっと押され
床に倒され上に轟君が覆い被さってくる
……デジャブな気がしてならない