第16章 「ラストシーンの後は」
千鶴「はぁ?何言ってんの急に!」
悟史「女優業はどう?大きな役もらったりした?」
千鶴「…しないよ?…あれから一歩も進んでない…」
悟史「一歩もってことないだろ…。思い出してみなよ。何かあるはずだ」
『(!!)』
探ろうとしてる…!!
千鶴さんの「希望」を…!!
『で、でも、大変そうだよね!レッスンとか…』
千鶴「うん、もう毎日大変だよ」
悟史はを睨む
『レッスンってどんなことするの?』
千鶴「そうだな…声だしとか、セリフ読みとか。結構普通でしょ?」
『そうだね…』
悟史の右腕がファントム化していた
『!!』
ガチャッ!!!
晴人「千鶴ちゃん!!」
千鶴「あ…!晴人くん!」
悟史の右腕は人間の腕に戻った
晴人「よかった…無事で」
悟史「魔法使いくんも来たんだ…」
晴人「ゲートをファントムから守らなきゃいけないからな」
悟史「へぇー。でもさっきファントムに逃げられてたよね…?」
晴人「え…?あれは…」
悟史「千鶴、俺たちだけで逃げようぜ。こいつらは頼りにならない」
晴人「待てよ」
悟史「…離せよ」
晴人「…………」
千鶴「ちょっと!何わけのわかんないことで揉めてんの!?」
千鶴は晴人と悟史を連れ出し、近くの公園に来た
千鶴「私とさとっちだけでどうにかなるわけないんだから!晴人くんたちがいた方がいいに決まってるでしょ!?」
『(すごい人だな…)』
千鶴「あ!!そうだ!!映研行かなきゃ!!」
晴人「映研?」
千鶴「フィルム!あの映画の!」
『え…?』
千鶴「映画は、さとっちの命なんでしょ!?肌身離さず持ってなきゃ!この先、いつどこにいても完成させられるように!」
晴人「千鶴ちゃん…」
千鶴「いますぐにはムリかもしれないけど、いつか!いつかでいいから…必ず完成させてよね」
悟史「…何でお前がそこまで…」
千鶴「見たいんだぁ…。あの映画が、私、女優真中千鶴の原点!今の私の…心の支えだから」
晴人「『!!』」
悟史の口角が上がった
悟史「そうか…。それが心の支えか…!」
千鶴「え…?」
悟史「これでお前を絶望させられる!」