第14章 「夢を継ぐ者」
晴人「え、出かけたい?」
徹也が店に戻ったあと、親方がジャケットを手に言った
親方「あぁ。あんたたちが一緒なら大丈夫なんだろ?」
コヨミ「ちょっと…一緒ならってそんな簡単に…」
『まぁまぁ』
晴人「それ、今じゃなきゃダメなこと?俺たちがファントム探すまで待てない?」
親方「あぁ。早い方がいいんだ」
晴人「自分の命を危険にさらしても?」
親方「……あぁ」
コヨミ「でも…!」
晴人はコヨミを止めた
晴人「わかった。俺たちが必ず守ってやるよ」
―――梅林堂―――
親方は梅林堂にやってきた
「え…お宅の弟子を…うちに?」
親方「はは…。俺の都合で店閉めんのに…路頭に迷わせちゃ可哀想だからな。あんたんとこなら信用できる。頼む」
親方は頭を下げた
「社長、すいません」
「今行く!そいつに何か作らせて持ってきな。見込みがありゃあ、雇ってやるよ」
親方「…………」
晴人「命がけの外出が、まさか弟子の再就職のせいとはね。自分のことは頼まなくてよかったの?」
親方「俺はいいんだよ…。もう歳だしな。徹也のやつが一人前になって、そんときうちの味をちょっとでも覚えててくれたら…それでいいんだよ」
晴人「店潰されても絶望しないと思ったらそういうことか。命がけで出かけるはずだ」
親方「あんたもいつかそういう日が来るさ」
晴人「え?」
親方「ほらあの…瞬平だっけか。あの落ち着きのねぇ」
晴人「あぁ。あいつは弟子ってわけじゃないから。それに俺…誰かに継いでもらおうなんて思ってないし」
コヨミ「…晴人! !」
『どうしたの?』
コヨミ「あの女…前に話したファントムよ…!」
コヨミの指差す方には、階段を上っていく女性の姿が
『まさか…』
コヨミ「今の話聞かれた…!」
晴人「ヤバイ…」
晴人は女性を追いかけた
『コヨミ、親方さんをお願いね』
コヨミ「はどこに行くの!?」
『徹也さんの方に行く。時間稼ぎぐらいはできるから』
は徹也さんの元に急いだ