第32章 「涙」
『う…』
気を失ってたんだ…
は立ち上がって歩き出した
「ちゃん♪」
『……ソラ…』
振り向くとソラの姿が
ピシッ…!ピシッ…!!
『あ…っ!!』
ソラ「呪いが進んでるみたいだね。もう隠してもムダみたいだし」
『え…!?』
ビシッ…!!ビシッ!!!
腕の傷の隙間から黒い羽が現れた
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
は何が起こっているかわからなかった
羽を掴んで外そうとする
ソラ「無理だよ!ソレはちゃんの中にいるもう一匹いるファントムなんだから!」
『!!…何ですって…』
私のファントムはセイレーンのはず…
私の中にもう一匹…?
ソラ「君はここで死ぬ」
『…………』
ソラ「そのもう一匹のファントムに魔力を全て吸いとられて…死んじゃうよ…?」
は歩き出す
ソラ「どこに行くの?君はもう…」
『うるさい!!!』
はそのままソラの元から消えた
ソラ「ボクが助けてあげようかと思ったのにな…」
とにかくこのままじゃいけない…
どこか人のいないところに行かなきゃ…
が着いた場所は森林が生い茂る公園
今は都合よく人がいない
『よかった…』
はフラフラと歩いて木の根本に倒れた
『(もう立ち上がる力もない…)』
は指輪を見た
『(晴人からもらった指輪…あの日…あの儀式の日…晴人とコヨミが助けてくれなかったら…私はここにはいなかった…)』
本当に死んじゃうのかな…
だったら…みんなに言いたかったな…
“ありがとう”って…
涙が溢れる
『嫌だよ…死にたくないよ…!!』
死がこんなに怖いものだとは思わなかった…
助けて…1人じゃダメだよ…
『晴人ーっ!!!!!』
そしてそのまま意識を手放した