第32章 「涙」
は叫び声のした方に向かった
そこには女の人が倒れ、あのファントムが立っている
『見つけた…!!』
は急いで弓矢を構える
『(そうだ…コイツには私の矢が効かない…)』
「何をしている…」
『!!』
は弓矢を消して魔方陣を出した
そして鎖でファントムを縛り付ける
「これは…」
『(弓矢がなくても戦える…!!)』
しかしファントムへと姿を変えて鎖を引きちぎる
『セイレーン!!』
指輪が光り、セイレーンが出る
セイレーンはファントムを貫こうとするが弾き飛ばされる
『セイレーン!!』
は矢にありったけの魔力を込めた
『(少しでも致命傷を与えられたら…!!)』
矢が大きくなる
『行け!!』
矢は勢いよく放たれ、ファントムに向かっていく
ドスッ…!!
矢はファントムに突き刺さった
『やった…刺さった…』
は地面に崩れ落ちた
『(魔力が…もう…)』
《何だこれは…》
『!!』
特に効いているようには見えない
『(コイツ…!!何でこんな…!!)』
今まで私の矢が効かなかったファントムはいなかったのに…
しかもあれだけの魔力を込めて何のダメージもないなんて…
『…っ!』
魔力が足りないからセイレーンも出せない…
《なぜお前の心が覗けない…》
『……私が聞きたいよ…』
《お前の心に興味がある…》
男はファントムから人間に変わり、の目の前に立った
そして顎を掴んで顔を近づける
《どうすればお前の心を覗ける…》
『………………』
は何も言わずに睨み付けた
《ふっ…まぁいい。まずはあの男の心を完全に壊してからだ…》
『!!』
男はを離して歩き出した
『(あの男ってまさか…!!)』
晴人のこと…!?
『待っ…!!』
しかし魔力の切れた体は言うことを聞かなかった…
『晴…人…』