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イカロスの翼【ヒロアカ】

第14章 ホークスが好きな彼女




雄英の校門前。
予告通りのお届け時間ピッタリに現れたホークスの姿を見つけて、彼女は小走りで敷地外へと踏み出した。


「お届け物です!追い風だったおかげで自己最短記録出たよ。はいどうぞお嬢さん、こちら御所望の公印になります」


かしこまった口ぶりで、楽しそうに笑うホークス。
突き出されている彼の拳の下に両掌を差し出しながら、は申し訳なさそうに、慎重に言葉を選び、声を発した。


『こんばんは、ホークス。忙しいのにありがとう』
「良か良か。俺が好きでやってんだから」
『うん、ありがとう』
「…本当にわかってる?「好きで」、やってんの」


意味わかる?と。
ホークスは再度問いかけながら、自身の拳をほどき、公印を彼女の両手にポトリと落とした。
大事そうに公印を両手で包んだ彼女の手の甲に、彼は自身の片手を乗せて。
しっかりと、彼女の手を握った。
公印に気を取られていたが顔を上げて、ホークスと視線を合わせる。
そして彼女は、ホークスがまた、ヒーローとしての仕事着ではなく、私服姿で現れたことに気がついた。


『…もしかして、仕事のついでで来てくれたわけじゃないの?』


そう問いかけてくる彼女の表情が、とても苦しそうな様子へと変わっていく。
その表情の変化を見ていられず、ホークスが、ぐっと言葉を飲み込み、彼女の手に置いていた自分の手を離した。


「…ち、がうちがう。まーさか!仕事で来る用事があったんだって。この為だけに本州まで横断って、どれだけ暇なんだよって話でしょ」
『…よかった、びっくりした…。そんなことさせてたら、申し訳なさすぎて…』
「大丈夫、仕事でね。…あー…えーと…そう、どうせなら少し話せる?仕事は片付いたし、この後、俺は帰るだけだから。門限さえなければ、書類にそのハンコ押してきてもらって…」


ホークスの視界に、彼女の腕にかけられている黒いカーディガンが映った。


「今日寒いし、それ着たら?」
『…あ、持ってきちゃった』


風が強く吹いているのに。
半袖姿のが、何故かカーディガンを羽織ろうとしない。


『これ、貸してもらったの』
「へぇ?なら尚更…」


言葉を続けようとしたホークスの剛翼が、学校側から、二人の元へ近づいてくる人の気配を察知した。

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