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イカロスの翼【ヒロアカ】

第14章 ホークスが好きな彼女




「思い当たることはありそうか?」


轟にじっと見つめられながら、は『うーん』と唸り、腕を組んで一考した。
しかし、数十秒後。
彼女は首を横に振り、残念そうに俯いた。


『…思い浮かばない。ごめんなさい』
「謝らなくていいよ!でもなんか、アレだね!僕が言うのも変な話かもしれないけど、これから威力のコントロール精度を上げていけば、出来ることの幅が増えるよね!」
「同意する。使いどころさえ間違わなければ」
「地道にコントロール重視の訓練を続けていくことと、個性の暴発に条件があるのか、考えてくしかなさそうだな」
「林間合宿では、俺の心の弱さがダークシャドウに主導権を奪われる引き金となった」


そういうこともあり得ると、知っておいてほしい。
常闇はにそう伝えて、湯呑みをキッチンへと片付けに行った。


「轟くん、その話がしたくて起きてたんだね。珍しく寝ないから、どうしたのかなと思ってたんだ」
「…それもある。単純にがリビングに居ることが珍しくて、どうしたのか聞こうと思ってるうちに、こんな時間になった」
『え、珍しいかな』
「朝はよく居るが、夜はいねぇだろ」
『そうなんだ、知らなかった』
「本人無自覚だったんだね…」


轟がまた何かに声をかけようとした時、彼女の携帯がけたたましく鳴った。
は、『あ』と呟いた後、片手で膝にかかっていたカーディガンを持ち、反対側の手で携帯を耳に当て、おもむろに玄関の方へ近づいていった。
靴箱から靴を取り出している彼女の背を眺めていた緑谷たちだったが、轟がハッとして、声を発した。


「おい、もう遅いんだから外に出んのはーーー」


やめとけよ、という轟の声は届かず、は、玄関から姿を消してしまった。


「…家族からかな?」
「…勝手な自論だが、は、結構天然なところがあると思っている。電話なら、自室で出ればいい」
「天然…独特な雰囲気ではあるよね。今日肌寒いのに大丈夫かな」
「…見てくる」
「「え」」


半袖姿のまま。
轟が靴箱から取り出した靴を雑に玄関へ落とし、サンダルのように履いて、後を追いかけていった。
その様子を棒立ちで見ていた緑谷と常闇は顔を見合わせ、なんとなく、二人の帰りを待つべきだろうと判断し、またソファに腰を落とした。


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