第12章 それぞれの個性
「ムダに怪我させるかと思ってたの知らなかったでしょ!?でも全員ケガなしで偉いなと思ったの今」
「いやしかし危なかったんだよね、俺のちん「誰か面白い子いた!?ねえねえ私さんが気になるの!彼女って独特な雰囲気!」
「波動さんがそれを言うのか…でも確かに、ミリオが透過している間は、呼吸ができないということに気づいたような動きだった」
「気づいてたとしても、ミリオの動きについてこれるのってすごいよね!あっ彼女転入生なんだよ、士傑とかから来たのかな!」
「彼女も、件の問題児くんも、俺の初手を分析し、予測を立てた行動だった。サーが好きそうだ」
ねえ私知ってる、サーってサーナイトアイのことなんだよね!とお喋りを続ける波動の言葉を聞き流しながら、天喰が隣を歩く通形に声をかけた。
「ミリオ」
「ん?環?」
「…後輩とはいえ、あそこまで自身の個性の弱点を教えるのは良くないと思って聞いていた」
未だ、敵連合は雲隠れ。
学生達の間では、「内通者」が雄英関係者の中にいて、情報を敵側に流しているのではないかという噂が、勝手に一人歩きしているような状況下だ。
「…何もしていないくせにすまない。ただ心配に思っただけだ」
「大丈夫!環が言ってくれている言葉の意味は、よくわかってる。でもきっとあの子達の中には、内通者らしき人はいないんじゃないかと、俺は思うんだよね」
「根拠は?」
「みんな、ヒーローを目指してる」
それだけで十分だろ?と。
通形は、ニッと笑い。
天喰はまた何かを言いかけて。
深いため息をついた。
さぁ、記録しよう。
・波動ねじれ 個性:波動
ネジレチャン。
リューキュウ事務所インターン生。
雄英ビッグ3。
好奇心旺盛。
やや多動。
若干気に入らない。
・天喰環 個性:再現
サンイーター。
ファットガム大阪事務所インターン生。
雄英ビッグ3。
精神感応。
警戒されている。
・通形ミリオ 個性:透過
ルミリオン。
ナイトアイ事務所インターン生。
雄英ビッグ3。
気づかれた。
記録者はそこで手を止め、呟いた。
『…疲れた。寝よう』