第11章 お初にお目にかかります
「ご迷惑、おかけしました!!」
新学期開始から早3日が経ち、緑谷が学業に復帰した。
ホームルームのため座っている状態だというのに、目で見てわかるほど、息巻いている彼の姿を相澤は教壇から眺めて、口火を切った。
「じゃ緑谷も戻ったところで本格的にインターンの話をしていこう」
長い説明に入るのかと思いきや、相澤は、「入っておいで」という短い言葉のみで一旦話を打ち切った。
不思議そうな顔をする教え子たちを見やり、相澤が補足説明をする。
「職場体験とどういう違いがあるのか、直に経験している人間から話してもらう」
多忙な中、都合を合わせてくれたんだ、心して聞くように。
そんな前置きが済んだタイミングで、教室前方の出入り口が開け放たれた。
「通称、ビッグ3の皆だ」
雄英生の実力トップと名高い3名の上級生が、クラスへ入ってきた。
つまりは、日本の将来有望株。
「彼等は将来、ビッグなヒーローになるだろう」、そんな国民の期待と予想を込めて、雄英高校のトップに立つ3人はそう呼ばれている。
「じゃ手短に自己紹介よろしいか?天喰から」
相澤から指名を受けた一番廊下側に立っていた男子生徒が、目を見開いた。
一瞥だけで与えられた圧倒的な威圧感に、クラスメートたちは身体を強張らせた。
どんな話をしてくれるのかと、緊張しながら彼が話し出すのを待っていると。
その眼力に見合わないような、小さな小さな声量で、彼は訴え始めた。
「駄目だミリオ…波動さん」
下級生達をジャガイモだと思って臨んでも。
俄然人にしか見えない。
言葉が出てこない。
頭が真っ白。
「帰りたい…!」
「「えぇ!?」」
泣きそうな声でそう告げてくる同級の言葉を聞き、隣に立っていた女生徒が軽やかな声を発した。
「あ聞いて天喰くん!そういうのノミの心臓って言うんだって!ね!人間なのにね!不思議!彼はノミの「天喰環」、それで私が「波動ねじれ」。今日はインターンについて皆にお話してほしいと頼まれて来ました。けどしかしねえねえところで君は何でマスクを?風邪?オシャレ?」
自己紹介から流れるように質問コーナーへと移行した先輩に面食らった障子が、目をパチクリとさせ、少し間を開けて返答をする。
「…これは昔に「あらあとあなた轟くんだよね!?」