第7章 エンデヴァーの息子さん
「ーーー……。」
二人が会話に花を咲かせているのを見て、轟は、の方へ近寄るのをやめた。
ぼんやりと、と夜嵐の会話を聞き流していると、馴染みのある声が聞こえてきた。
「轟さん、お早いですね!」
「さすがね轟ちゃん。危なげなく通過ね」
「…八百万、蛙吹」
試験も中盤に差し掛かり、見知った顔が増えていく。
轟に声をかけてきた二人以外にも、耳郎、障子が一次試験を無事通過したらしい。
一旦部屋の奥へと進み、カードキーを使ってターゲットを取り外してきた彼らは、轟のもとへと戻ってきた。
先ほどまでが座っていた轟の隣席に、蛙吹がなんの気無しに腰掛けたのを見て、轟が「あ」と小さな声をあげた。
「ケロ?ここ、ちゃんの席だったかしら」
蛙吹は、鋭く、轟が言いかけた言葉の続きを言い当てた。
轟は一瞬だけ、と、心底楽しそうに会話を続けている夜嵐を眺めて、ムッとした顔をした。
「…別に、気にしなくていい」
「…そうなの?わかったわ。でも…」
なんだか心配な雰囲気ね、と。
気遣ってくれる蛙吹の言葉が、やけに轟の身に染みた。
<100人!今埋まり!!終了!です!ッハーーこれより残念ながら脱落してしまった皆さんの撤収に移ります>
先着100名ギリギリになって、約半数の雄英生が駆け込み通過した。
まだこんな残ってたんかい、と担任に小言を言われそうなギリギリの結果ではあったものの。
「っしゃああああ!!」
「雄英全員、一次通っちゃったぁ!!!」
雄英高校1年A組の生徒達は、ヒーロー科一年にして、脱落者ゼロという快挙を果たした。
「、結構早く通過したんだって?ここに来る途中緑谷達から聞いた!」
「すげぇ個性なんだって?訓練期間中も、勿体ぶってないで教えてくれりゃーよかったのにさー」
一次試験開始早々、飛び出していった爆豪を追いかける形で、クラスの団体から抜けていってしまった切島と上鳴。
噂によると、色んな意味で超まばゆい個性を持つというに興味津々な二人は、「見せて」「見せて」としつこく彼女の周りを取り囲む。