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イカロスの翼【ヒロアカ】

第1章 神話的な彼女




「1棟1クラス。右が女子棟、左が男子棟と分かれてる。ただし1階は共同スペースだ。食堂や風呂、洗濯などはここで」


気を取り直し、相澤の説明を聞きながら、生徒達が1階エントランスに足を踏み入れる。


「広キレー!!そふぁあああ」
「豪邸やないかい」
「麗日くん、しっかりするんだ!」


さすが新築3日。
輝かしい広々空間を目にした生徒達が感嘆の声を漏らし、我先にと靴を脱いで駆け出していく。
その中で二人、クラスメート達のテンションについていけない爆豪と轟が玄関に取り残された。
二人は特に何を話すでもなく、それぞれマイペースに靴を脱ぎ始めた。
爆豪は、後ろ向きになってから靴を脱ぎ捨て、足で自分の靴を端まで追いやった。
轟は、踵に指を引っ掛けて靴を脱ぎ、それを手に持ったまま、キョロキョロと周りを見渡し始める。


「あっ、轟えらーい!みんなー!感動しすぎて靴脱ぎっぱなしー!」
「なに!?いけない、俺としたことが!みんな、靴は靴箱に仕舞おう!そして、靴の内側に名前を書いていない人は、間違って他の人が履いてしまわないよう、マーカーで書くんだ!」
「幼稚園児か」


玄関で立ち止まったままの轟の意図に気づき、芦戸がクラスへ号令をかける。
どやどやとまた集団で玄関へ押し寄せてくるクラスメート達を背にして、轟が靴箱らしき棚の扉を開けた。


「………。」
「轟くん、どうしたの?」
「…いや」


扉を開けたまま、靴を仕舞おうとしない轟に、緑谷が声をかけた。
その声を聞き、轟は緑谷からも靴箱の中が見えるように、半歩身体を横にずらした。


「…あれ?」










その時だった。










「いぎゃああああ!!!」









峰田の叫び声が寮内に響き渡る。
クラスメートの危機を察知し、その場にいた全員が反射的に身構える。
見渡す限り、峰田の姿はリビングには見当たらない。


「っダメよ、みんな!」


既に奥の共有スペースへと向かって駆け出している相澤の後を追い、止める蛙吹の言葉も聞かず、緑谷、爆豪、轟、切島が飛び出した。


「峰田!」
「峰田くん!」


相澤から一歩遅れて、緑谷達がその現場に到着した。
そこには。
脱衣所に設置された洗濯機の前で、知らない女子に踏みつけられながらも、必死にキャミソールを手放すまいとしている峰田の姿があった。

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