第49章 選んだ道
もう、いいんだよ。
が困った顔をした。
ホークスは、大人びてしまった彼女の顔を見つめて。
謝り続けるしかなかった。
「……ごめ……」
『大丈夫』
謝り続けて。
ついに。
時間切れが来てしまった。
「……」
病室の扉をノックする音がした。
の病室に、轟が入ってきた。
轟は二人の顔を交互に見て。
また、あとで来ようか、と。
に問いかけた。
「…いや…もう、行くよ」
ホークスが席から立ち上がる前に。
一言だけ、問いかけた。
「……」
抱きしめてもいい?
ホークスが、ひどく申し訳なさそうに。
そう言った。
所在なさげな彼を見て、は両腕を広げた。
「……ありがとう…一緒に、戦って、くれて」
「同じ夢を…追いかけてくれて」
本当にごめん、とホークスは呟いて。
堪えきれず、涙を溢れさせた。
「生きていてくれて…ありがとう」
「、俺…」
「本当に、君のこと」
「大好きだったよ」
「今でも大好きだ」
「だから……」
「だから、他の、誰かと幸せに、なって」
最愛の人の胸に刃を突き立てた時でさえ。
彼は涙なんて浮かべていなかった。
誤って殺したと知っても。
涙など、滲んではこなかった。
そんな「普通」な感性を持てるほど。
生温い道を歩んではこなかったから。
それでも
俺は、君のこと大好きだよ。
誰よりも君のこと、わかってるって自惚れてた。
ごめんね。
涙が溢れて、止まらない。
彼女を抱きしめる鷹見の腕に、力が込められる。
子どものように。
いつまでも泣き止まない幼馴染。
はその背をさすって。
私も、鷹見くんのこと大好きだよ、と。
言葉を返した。
正しく、在ろうとするキミの事
昔から大好きだった。
翼は燃えてしまったけど
これからも私がキミの片翼になるから。
また、一緒に飛ぼうよと。
が笑いかけてくれた。