第49章 選んだ道
涙を浮かべながら怒声を発する緑谷を見下ろして、荼毘はアハハハと楽しそうに笑った。
その時。
マキアがワイヤーをぶち破り、身体を起こし、爪を構えた。
「立て直す!!」
更にワイヤーを重ねようと、ベストジーニストが両腕を力強く握りしめる。
瞬間。
それまで、壊れた人形のように、ピクリとも動かなかったエンデヴァーが高く飛び上がり。
マキアの下顎目掛けて、打撃を放った。
落下していくエンデヴァーを、今度はが飛び上がり、彼の身体を宙で受け止める。
「ーーーフェニックス」
『傷が深い、処置をする』
すまない、と。
エンデヴァーが、らしくないことを口にする。
『……、まだ終わってない』
ベストジーニストが更に締め付けを強化する中。
早業ですり抜けを行ったコンプレスが、迫り来るワイヤーの締め付けから逃げ出した。
加勢にきたルミリオンが、彼を蹴り飛ばす。
エンデヴァーが気絶したことを確認し、荼毘が焦凍に向かって、最高火力の蒼炎を放った。
「燈矢ーー!!!」
「ごめん焦凍、事情が変わった」
一瞬にして、荼毘が轟を吹き飛ばしてしまうほどの火力を放つ。
荼毘がの現在地を確認し。
加速して、その間合いに飛び込んできた。
「」
『……!』
不自然な間合いだった。
遠距離で戦えるはずの彼が、わざわざの目の前に降り立った。
彼女が片手を荼毘に向ける。
荼毘は、臆することなくその手の指に、自分の指を絡めて。
白炎を放つ彼女の手のひらと、蒼炎を放つ自身の手のひらを重ねた。
ぐいぐいと近づいてくるその勢いに気押されて、が後ずさる。
荼毘は、そんな彼女のネックレスを引っ掴み。
彼女の顔を自身の方へ引き寄せて。
の唇に、自身の唇を重ねた。