第49章 選んだ道
が、勢いづいたカルラの白炎を身に纏う。
荼毘がマキアの背から飛び降りて、蒼炎を纏い、応戦する。
「ーーー赫灼熱拳……!!!」
また、戦闘が激化する直前。
空高くから声がした。
「遅れてすまない!!」
はるか上空を横断した戦闘機から、一人のプロヒーローが飛び降りた。
ナノファイバーをさらに硬化素材へと変換した彼専用のワイヤーと共に、彼は戦場に舞い降り、名乗りをあげる。
「ベストジーニスト!!今日より活動復帰する!!」
ベストジーニストがマキア、敵連合を個性で拘束する。
抵抗する巨人を抑え込むため、未だ身体がズタボロの彼は、吐血しながら、常に全力を保ち、敵に全意識を向ける。
ベストジーニストの元へ、飛び込んできた脳無の姿を確認し、が宙へ舞い上がった。
脳無4体に対し、は1人。
攻撃的な「個性」をもって、彼女は脳無の1体の頭部分を瞬間的に焼却した。
しかし、10年以上の時をかけた身体は、思うように動いてくれない。
身体のサイズも違えば、動きも違う。
『…ッベストジーニスト…!』
「フェニックス!!」
5秒、耐えて。
が突如襲ってきた身体中の痛みに悶絶し、地に落ちる。
それを見て、爆豪が飯田の手を振り切り、飛び出した。
地面に衝突する直前。
爆豪がの身体を抱き抱え、地面との直撃を免れた。
『……ッば…くごう…動いちゃダメ』
「テメェが言うな!!一回死んでんだろテメェ!!万国人間びっくりショーか!!」
『なにそれ…楽しそう』
「楽しかねぇよ!!」
拮抗している戦況が、徐々に。
ヒーロー側へと傾いていく。
動ける人間が命を燃やす中。
エンデヴァーだけが燻った火を燃やしきることができずに、ただ、その場で力なくうなだれていた。
「焦凍!!俺の炎でおまえが焼けたら、お父さんはどんな顔を見せてくれるかなァ!?」
緑谷が黒鞭で轟を庇い、荼毘がそれに激怒した。
他所の家に首突っ込むなよ、とシャウトした荼毘に対し。
緑谷が言い返す。
「突っ込む!!轟くんは大事な友だちだ!!エンデヴァーは僕を強くしてくれた恩師だ!!」
過去は消えない。
だから今を見る。
彼は叫んだ。
「おまえは、エンデヴァーじゃない!!!」