第49章 選んだ道
『キミの笑った顔が好き』
『その優しい声も、心根も』
『とても』
『大切に思ってる』
ーーー好きに、生きて
頭の中に、大切な友達の声が響いた。
『ーーー…轟くん』
『私』
『怖がられていても』
『我慢し続けてでも』
『みんなと一緒にいたい』
『キミの隣にいたい』
『私の本心だよ』
私がキミの味方かどうかなんて、証明しようがない。
伝えるしかない。
いつもみたいに。
一緒に、いてほしい。
私のこと、必要としてほしい。
信じてほしい。
涙を流すの胸元で。
いつか、轟から贈られたネックレスが揺れている。
轟は、そのネックレスに気づくことなく、ただ彼女を抱きしめる腕に力を込めた。
「ーーーずっと、おまえを信じてる」
そのたった一言で
私は
『…ありがとう』
彼女は轟の腕を優しくほどくと、笑みを浮かべて、息を深く吸い込んだ。
荼毘は焦凍を抱きしめる彼女を見て、先程まで苛立ちをその顔に滲ませていた。
しかし彼女と視線が交差すると、顔が裂けるような笑みを浮かべ、怒鳴った。
「バッカだなぁ…!懲りろよ、お前一度殺されてんだぞ…?ヒーローの贋物共に!!」
『うん』
「本当、バカだよお前!!お前は、どうあがいてもこっち側の人間だろ!!」
『うん』
そう思うよ、と彼女は言った。
そして、言葉を続けた。
『自分のことはもうどうでもいい』
『手の届く範囲の、大切な人たちが』
『取り留めのない毎日を過ごせたら』
『それでいい』