第49章 選んだ道
その一言で、私がどれだけ救われたのか。
キミはきっと、気づいていないんだろうけど。
『……何言ってるの。優しくなんかないよ』
「…十分優しい。周りのことばかり考えて、気遣ってばっかで……自分のことは二の次だ」
『……なんでそう思うの』
「…見てればわかるよ」
「俺は…お前の親友だから。ちゃんと見てる」
誰かが
自分を信じてくれている。
それだけのことがどれほど大変なことなのか
どれほど幸福なことなのか、初めて知った。
『…轟くん、泣かないで』
キミが泣いていると思ったら
どうしても
後ろ髪を引かれた。
『私ね…』
キミが一人で
戦っていると知ってしまったら
何としてでも
戻ってきたい、と思った。
キミの味方でありたいと思った。
轟くん、私ね。
結局のところ。
キミのいう通り、自分のことなんて、もうどうだっていいんだ。
もう、どうなったっていい。
誰に何を言われようと。
誰に刃を突き刺されようと。
どうでもいい。
どうでもいいから。
ただ
キミだけには
この道の先、遠い未来で
笑っていてほしいと思うから