第49章 選んだ道
生きづらい日々だった。
「、おはよう」
『おはよ、轟くん』
自分を必死に押し殺して。
キミたちと一緒の夢を見ようとし続けた。
ヒーローになろうと、必死だった。
「、おはよ!」
「さんおはよう」
「!おっはー」
全てを焼き払ってしまいたいのに。
自分の気持ちに蓋をした。
初めて出来た家族。
初めて出来たクラスメイト。
初めて出来た担任の先生。
皆と、出来る限り一緒にいたかった。
皆と過ぎていく、他愛無い一日が好きだった。
「さんおやすみ」
『おやすみ』
「ーおやすみ!」
私をこの世界に連れてきてくれたヒーローから教わった。
社会の中で生きていくには、誰かを脅かしてはいけない。
誰かを傷つけてはいけない。
人を、燃やしてはいけないよ。
自分に必死に言い聞かせて。
我慢して、我慢して、生きてきた。
毎日が苦しくて。
生きづらくて。
どうして、私は「普通」になれないのか。
自分を呪った。
ホークスに、見限られて。
少しだけ、ほっとした。
あぁ、遂に。
もう我慢しなくていいんだ。
もう、苦しまなくていい。
やっと解放される。
やっと諦められる。
私にキミたちと同じ道は歩けない。
もう歩きたくない。
そう、確かに
思った、はずなのに。