第49章 選んだ道
お前は俺の言葉を聞いて。
声を殺して泣いていた。
その時の感情を。
何も言ってくれなかった。
何も教えてくれなかった。
けど。
二人繋いだ手の指先から。
俺は、お前の感情が伝わってきたような気がしてた。
「焦凍!!逃げろ!!!」
「轟くん!!!」
仲間がお前を、敵だと言っている。
世界がお前を、目の敵にする。
いなくなったりしないで、お前は。
せっかく俺のもとに帰ってきてくれたのに。
あんまりだよな。
みんな、お前のこと。
何も知らない。
何もわかってない。
けど、俺だけは。
せめて、俺だけは。
「」
泣きながら、それでも
俺の手を離さなかったお前のこと
忘れたりはしないから
白炎が轟の横を駆け抜け、荼毘の蒼炎にぶち当たる。
火花があたりに飛び散り、轟が駆けて、駆けて。
の所へ辿り着いた。
走り込んできた勢いを殺すことのないまま。
轟がを抱きしめた。
ただいま、と。
少し大人びた声で、彼女が囁く。
轟はまた。
目から涙を溢れさせて、言った。
「ーーー……おかえり」