第49章 選んだ道
お前は敵だ、とエンデヴァーが言っていた。
何をもってそんな誤情報が流れたのか、俺は作戦開始直後まで、考え得る限りの可能性を考えた。
、今度は何をやらかしたんだろう。
仮免の仮合格なんてよくわからない評価を受けていたお前のことだ。
お得意の凶暴性を持って、誰か誤ってプロヒーローを燃やしたりしたんだろうか。
ーーー色んな人に出会ってきた。
ーーーまず初めの第一印象は、顔を見る、とか手を見る、とかそんなんじゃない。
ーーーどこが燃えそうかなって考える。
は、自分が「普通」じゃないんだって苦しんでいた。
自身の中に、確かに存在している凶暴性のスイッチが、うっかり入ってしまわないように。
いつもいつも真面目な顔をして。
何かを我慢し続けていた。
ーーーこの前、この話別の人にしたら
ーーー燃やしていいよって言われた
ーーー燃やしたいけど、燃やしたくないの
ーーー傷つけたくないの
どの言葉も、本心だろう。
どの思いも全てを形作っている大切な感情なのに。
お前は、周りの人間の幸せを願って。
自分の自由を制限して生きてきたようだった。
ごめんな、。
嘘ついてごめん。
あの時、俺は。
「ありがとう」
「我慢してまで」
「俺の隣にいてくれて」
「燃やさないでくれて、ありがとう」
そんな、お前を慰めるようなこと言ったけど。
本当は怖かったんだ。
窮屈そうに、社会のしがらみにがんじがらめになってるお前のこと。
気づいていたのに、助けようとしなかった。
自由に生きろよって。
言ってやらなかった。
だって、お前が自由を求めてしまったら。
我慢し続けなきゃいけない、俺の隣から。
お前がいなくなってしまうような気がしてた。
友達なのに。
親友なのに。
お前が一番楽になれる言葉を。
お前が言ってほしかった言葉を。
言ってやらなかった。
我慢をし続けていてほしかった。
ただ、一緒にいたかった。
お前を好きだとか言いながら
最低な言葉をかけたんだ。